“Moshing Maniac 文化庁前”, 2019 [Performance]

“Moshing Maniac 文化庁前”

2019年9月に文化庁が決定した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付に対し、抗議と決定の撤回を要求するため、同年10月11日(金)に文化庁前でパフォーマンスが行われた。
『Moshing Maniac』は、2014年にcore of bellsと「悪魔のしるし」主宰の危口統之による共作であり、主役のはずの演奏を行うバンドが不在の状況で、観客席に仕切られた空間(=モッシュピット)で、観客がお互いの体をぶつけ合う「モッシュ」と呼ばれる行為を全編にわたり繰り広げるパフォーマンスである。本作で参照しているモッシュは、暴力的に体をぶつけ合うのではなく、曲ごとにお約束とも言える振り付けがあり、倒れたモッシャーがいたらすぐ周りのモッシャーが助け起こすなど、ライブパフォーマンスを楽しむための協力的なものである。
本パフォーマンスは抗議に向けた新しいバージョンで臨み、開催前日に情報を公開して参加モッシャーを募った。

以下、ステイトメントより

この度、core of bellsは、10月11日(金)20時から文化庁前にて、『Moshing Maniac 文化庁前』を行うことを決定しました。今回の文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」への補助金不交付の決定が、すべての表現活動における自粛、自己検閲につながるものとして憂慮し、これに強く抗議、決定の撤回を要求するためのパフォーマンスとして行います。

今回の文化庁は、不交付の決定の理由が、「安全で円滑な運営を脅かす事態の無申告」ゆえの「申請手続きの不備」にあるとしています。しかしまず批判されるべきなのは、明らかに運営不備ではなく「安全で円滑な運営を脅かす」行為にあります。
脅迫行為によって、「安全で円滑な運営」が出来ないことに対して一手に責任を求める今回の決定は、「脅迫されないような表現」の推奨であり、内容を具体的に言及せずともアーティストに「察する」ことを暗黙の了解とさせる、自己検閲や自粛に明確につながるものです。
さらに、当の不交付の決定を審議した議事録は存在しないのか一向に開示されません。どのようなプロセスで、決定されたのかを恣意的に開示しないことこそ、「手続きの不備」ではないのでしょうか。

文化芸術の創造および発展の基本が多様性の中にあることは、文化芸術基本法、文化芸術推進基本計画にも明記されています。
その多様性を担保しなければならない文化庁が、多様性を脅かすような状況を生み出していることは、全く笑えないブラックジョークです。
私たちは、これら度重なる不条理に対して、フルスイングのバカバカしいやり方で抗議すべく、『Moshing Maniac 文化庁前』を行うことにしました。

2019年10月11日(金)
会場:文化庁前
主催:core of bells

写真:前澤秀登

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