“ボトルキープ2010”
1stアルバムにして、レーベルCHAOZ CHAOSのリリース第一弾。
core of bellsは2003年のバンド結成以降、音楽のみならず美術、映像、演劇、ダンス等の様々な表現の分野にアクセスしながらも、領域横断、ジャンルレスといった価値には懐疑的であり、それぞれの分野から得たエッセンスを領域/ジャンルを前提とせず、ひとつの表現にしていることに可能性を感じて活動して来た。本作では新たな表現領域を未来へ切り拓くボトルキープとして、自分たちの歴史への対峙と探求の軌跡が余すところなくパッケージされている。
エンジニアには、ディプレッシヴ・イージーリスニング・グループ「HOSE」のリーダーである宇波拓を迎えて制作された。
発売日:2010年3月3日(水)
価格:2,300円(税込み)
品番:CZCS-001
レーベル:CHAOZ CHAOS
参加アーティスト:Phew/宮崎晋太朗/中尾勘二/細馬宏通/VAV/sei+yusa/石川高
engineered by 宇波拓
収録曲:
1 Precious Time Medley
2 Go Thrash CxOxB
3 川辺のバザール
4 ソファ
5 出没!発泡主
6 Positive Drinking Digest
7 頭が完全に宇宙
8 へそにピアス
9 Understand?
10 輝け 未来の巨匠
11 魚を食べに行こう
12 Ring My Bell
13 ボトルキープ
14 オデュッセイア
15 母乳
16 ホルモンの歌
本作の造物主であるcore of bellsとの二度目の出会いは笑劇、いや衝撃であった。一度目の出会いにおいてはまだしもハードコアパンクバンドと呼ばれ得るような範疇の佇まいであった筈と記憶していた彼らが、数年を経た再会の場においては、ほぼ完璧にカテゴライズ不能の、というかそもそも音楽と呼ばれ得るような範疇にさえ収まり切れないような、なぞなぞめいた謎の頓知と、諧謔に充ち満ちた機知と既知、じゃなくて未知とのおおらか且つ真剣なる遭遇ぶりを発揮し捲っており、私は目眩めく驚きとともに(頭の中で)爆笑し、同時に(心の中で)深く感動したのだった(いわゆる心脳問題)。音楽だとかろうじてホースと天狗と狐、寧ろ音楽以外であればチェルフィッチュ以降のメタ演劇(例えば東京死錠や岡崎藝術座とか)、手塚夏子や神村恵のメタダンス、或いは福永信や青木淳悟のメタメタ小説、横山裕一のメタメタメタ漫画などと相通じる、世界の原理と芸術の根底を厳かに照らし出す、それでいて余りにも面白過ぎる表現が、ここには詰まり捲っている。でもって考えてみれば、ハードコアでありパンクであるとは、そもそもそういうことではなかったろうか?
佐々木敦(HEADZ/UNKNOWNMIX)
コア・オブ・ベルズは面白い。その音楽はオルタナティブでハードコアで、初めて見た時、ルインズやネイキッド・シティーにも共通するサウンドを、かくも若い連中が奏でている事にちょっと驚いたのだけれど、その演奏力や真っ向勝負的な音楽性と相反するような、何か「ねじれ」のようなものが時々見え隠れするところがとても面白いのだ。天然なのかそれとも確信犯なのか、気になるところだったのだが、アルバム聴いたらよ〜くわかりました。本気で「不真面目」になろうとした、とても気のいい礼儀正しい若者達。ちょっと恥ずかしそうな「なめた感じ」 。ひねって、ねじったら、いきすぎて元の位置にもどってしまった、みたいな〜。「音像」も含めいろんなものが本当に面白いアルバムでした。
芳垣安洋<ROVO / ONJO / ex.DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN>
1stアルバム「ボトルキープ2010」をずっと聴いています。Phewとかえるくん(細馬宏通)が歌で参加しています。どちらも名唱です。core of bellsの音楽には滑稽があると思います。私は文章でも絵でも何でも滑稽があるものにとても惹かれます。言葉で滑稽を表すことも非常に難しいと感じていますが、音全体でそれを表現するのはもっと難しいと思っています。core of bellsはそれが出来てるバンドだと思います。凄いです。大好きです。
bikke<Lovejoy / JB>
壊れた洗濯機には暴走することを期待する。しかし、唐突に止まるのだ。しかし状態を維持することはない。安定の持続は不安に陥る。絶えず切り替えなくてはならない。そのためには細部にまで行き届いた技術が要請される。思考のスピードに身体をまた同時に他のクルーを強制する。しかし目的地などは無い。行き場 なくのたうちまわる乗り物だ。近づく者は拒絶され、逃げると引きずり込まれる。言いたいことは山ほどあるが、わかってもらいたいなど思っていないという態度。本心は叫んでいるのだが叫んでいるように見せる。笑っているようで笑っていない。収まりの悪いそれらの衝動をリズムという方法で無理やり圧縮する。そして欲しく もないキャラメルをよこせと叫びながら近づいてきて去るのだ!
小林耕平[美術家]
散らかっているようでまとまっている。
ふざけているようで生真面目。
歌 ポリリズム 展開の妙 ガレージ感。
これぞcore of bellsですね。
初期の音楽的衝動を大切に手作りの木箱に監禁して、たまに出しては舐めて可愛がる。
それが今やリリースされてみんなが舐めて可愛がることができるようになりました。
本人たちは少し悲しいに違いありません。
僕も舐めさせてもらいます。ぺロペロ。
千住宗臣<PARA / ウリチパン郡 / COMBOPIANO>
存在を知ったときから好みにドストライクのバンドコアオブベルズは礼儀正しく賢く計算もできそうなんやけどそれと向きの違う上にのびるピューが熱く高く噴いておるようなそこがまた好きで、なのでCD早よ出んかなあとずっと待ってましてやっと聴けたそれはやはり礼儀正しく賢く計算できそうなんやけど透きとおったピューが熱く高く噴いており、やっぱり好きやー、と思いました。
渕上純子<ふちがみとふなと / JB>
core of bellsのアルバムは、横ではなく奥に向かっている。まるで穴の前で聞いているようで、ヴォーカルが顔を出しては引っ込む、ギターが、ドラムが顔を出しては奥に引っ込む。そして、思いがけない人が突然現れ、そして消える。襲いかかってはこないが、聞いているといつの間にか穴の奥へと入ってみたくなる。まるであのrabbit-holeのように。
藤本由紀夫[アーティスト]
CxOxBのようなバンドが80年代に登場していたら、エラいことだっただろうなと思います。地下音楽業界はひっくり返っただろうなあと思います。いや、それは彼らが今ふうのバンドだからというネガティブな意味合いにおいてではなく、80年代を通過して来た私のような人間にとっては地下音楽業界の驚くべき進化をCxOxBによって目の当たりにするという驚きに満ち満ちて図らずも発せられたポジティブな感情の叫びです。風変りなCDです。音楽も風変りなら録音や編集も風変り。なるほど宇波くんですか。風変りに適任な男ですね。ゲストもみんな風変りです。でもこの風変りが10年後のデフォルトになってたりしてね。世の中なかなか分らないですから。切れ味の良い風変りです。便秘による三日間の便が一気に出たような。それによって腹の圧力がすっと引っ込んだような。そんな切れ味の良い風変りなCDだ。
沼田順(doubtmusic)
☆思春期を迎えた屠殺者、戴冠への一歩を踏み出す!
想像してみよう。XTCの1 st アルバムが発表された当時の衝撃を。
別に想像しなくても一向にかまわない。
さて、CxOxB は、青春から、血と汗と涙を抜き取ることに成功しているのではないか?
しかし、それは、機械=マシーンの仕業ではなく、あくまで生身の人間によってもたらされたものだ。
それを可能にしているのは……、知性!? まさかね……。
ライブで興味を持った人間は、このアルバムを買うべきだ。
クリアな音源は彼らの新しい一面を垣間見せてくれている。
泣くがいー、声を上げて泣くがいー。
その涙は宝石となりCxOxBの元へ届くだろー。
その輝きこそがロック新時代の幕開けなのだ。
泉智也<HOSE>
ぼくらはもはや斬新さにたどり着けない、んだから、言葉もメロディもじつは重要じゃなく、かといって借り物もいやだし、むしろ行為そのものの志向性にひっぱられて突進するしかない!!たとえばベーカリーで勢いよく「ショコラ・クロワッサン!」と叫んで持ち帰った帰り道、じつはベーコンが黒こげでチョコレートに見えただけのベーコン・チーズ・クロワッサンだったとしても、いちいちぼくらはクレームなんてつけないよ。だってほんとうにショコラ・クロワッサンが食べたかったわけじゃないんだから。ただなにかを口に入れたかっただけ。もしゃもしゃ、くしゃくしゃ、ぐじゃぐじゃ、口を動かす。動かしつづける。そんな純粋な行為によってしかたどりつけない場所があるはず。彼らもそんなところに駆け抜けようとしているんじゃないかなあ。
田中功起[アーティスト]
ニギニギした若いロックを聞くのは好き。ゲストがいない方が自分はよかった。次は演奏も録音も、メンバーだけで聞いてみたい。熱いうちに。
豊田道倫<パラダイス・ガラージ>
On Your Knees,or On Your Feet.Here’s Amazing CxOxB!
core of bellsと初めて遭遇したときからタダもんじゃねえな、とは感じていた。奴らはハードコア、ジャズ、サイケ、歌謡曲、ノイズ、そしてプログレなど、あらゆる音楽の要素を飲み込みながら、突然変異を続けてゆく。それは「越境」というより「熱狂」、そして「逸脱」だろう。「どうやって壁を越えてやろうか。」と戦略的思考を練っていたわけではなく、「祭りでワショーイ!してたら、壁にぶち当たっちゃたけど、踊り続けていたら、壁が壊れちゃったんで、そのまま走り抜けちゃいました。」てな感じ。Phewやコンポステラなどで活躍する中尾勘二など、自分が思いも寄らなかった文脈からのゲスト参加者も、そんな祝祭を煽動しているように思える。馬鹿馬鹿しいことは真剣にやらなければ、本当には馬鹿馬鹿しくはならないのだ。例えば、無駄に高度な曲構成や演奏力を持った「プログレッシヴ・ロック」こそ、馬鹿馬鹿しさの至高の極致であること。彼らはそういった音楽の極意を頭脳ではなく、細胞のレベルで記憶しているに違いない。そう、彼らの音楽こそ、本当の意味で“プログレッシヴ”なんだYo、多分。さあ、母乳を飲んで魚を食いに行こうぜ!
コサカイフミオ<Incapacitants>
<子供達のハードコアパンク>
最初にCLUB GOODMANで観た時からとにかくインパクト大、の彼ら。巨漢のボーカル、でっかい小学生みたいな半ズボンギタリストに、フロントマン以上にキレまくってブラストしまくるドラマー、笑顔がかわいいさわやかベーシストにイケメンでニヒルなもう一人のギタリスト。そしてこの謎の配役で、出てくるサウンドがネイキッド・シティかMr.BUNGLEかといった具合の予測不可能なプログレッシブ・ハードコア。途中からニューウェーヴ風の曲やポストロック(というかthis heat風?)の曲が出てきて更に謎がふかまり、やたら高速のヒカシューみたいになっていった。最近見たライブは、ドラマー以外が全員一つのテーブルを囲み、まるでAMラジオの深夜番組みたいなゆるゆるのトーク→ハードコア→ゆるゆるのトーク→ハードコア、といった意味不明もレッドゾーンまで振り切った感じのブッチギリ具合だった。今正にこういうバンドが貴重なんだと思うんですけど。
吉田肇<panicsmile>
彼らの人の良さがしばしば語られたりするけれど、それは人当たりの良さであって、たぶん(いや間違いなく!)全員悪党だ。そうじゃなければ、こんなに悪意を詰め込んだ音楽を作ったりはしない。皆、騙されるな!ただ、そんなド悪党どものクセに、恐ろしいほどの迂闊さと音楽に対する愛情が滲みでてしまっているのが、なんとも間抜けであり、時折、それすら計算のふりをしたりもするけれど、それはやっぱり間抜けなだけだと俺は初めて彼らを見た日から思っている。だから無理するな、な、な。
小田晶房(なぎ食堂店主 / map構成員)
すくすく育った健康な精神を逆再生したらこうなっちゃったっていう感じの人たちの音楽です。
神村恵[ダンサー・振付家]